同じ立地、同じスペックの箱根の物件でも、価格設定のやり方によって年間売上が大きく変わることがあります。物件選びや内装に比べて軽視されがちですが、価格設定は利益を最も大きく左右する経営判断です。
そして多くの初心者が、よかれと思って選ぶ「一律料金」こそが、収益を最も損ないやすい落とし穴です。この記事で、その理由と、需要に価格を同期させるダイナミックプライシングの実務をお伝えします。
「一律料金」が収益を損なう2つの理由
閑散期の空室赤字と、繁忙期の機会損失
「年中いつでも1泊4万円」のような一律料金は、一見ゲストに親切に見えて、実は2つの致命傷を同時に負います。
一つは閑散期の空室赤字。オフシーズンの平日に4万円は割高に映り、予約はゼロが続きます。空室でもローンや管理費は毎月出ていくため、垂れ流しの赤字になります。
もう一つは繁忙期の機会損失。連休や年末年始は1泊10万円前後でも予約が入りやすい時期なのに、4万円で半年前に完売させてしまえば、本来40万円前後取れた4連泊を16万円で手放したことになります。
実際、一律料金で運営していたホストが、閑散期の赤字を繁忙期で取り戻せず短期で運営を断念した事例は珍しくありません。価格設定が適切でなかったために収益が伸び悩んだケースです。
一方で同エリアでダイナミックプライシングを行っていた別荘は、繁忙期の連休を高単価で安定的に満室にしていました。
追うべきは「稼働率」ではなく「総売上」
「とにかく埋めたい」と安売りして高稼働を作っても、清掃費とOTA手数料で利益は痩せます。需要が冷える平日は価格を下げてでも現金(稼働)を拾い、需要の高まる週末・連休は価格を上げて売上を最大化する。
この波に価格を同期させることで、稼働率ではなく総売上が最大化します。価格テンプレートを導入したある別荘は、年間稼働率約58%・ADR約7万円で安定。一律料金を守ったケースと比べ、売上差は歴然でした。
価格テンプレートの実務
時期と曜日で、価格を大きく動かす
年間平均ADR7万円を達成するために、時期と曜日で価格を大きく動かします。骨格はこうです。
| 時期 | 1泊の目安単価 | 狙い |
|---|---|---|
| 閑散期の平日 | 3万円前後 | 空室を埋めにいく |
| 通常の週末 | 5万円 | 週末需要を取り込む |
| 3連休・紅葉ピーク | 7万円を基準 | 早期完売を狙う |
| 超繁忙期(GW・お盆・年末年始) | 10〜12万円 | 人気エリアでは高単価でも予約が入りやすい時期 |
さらに細かな勝ち筋と、閑散期の割引
さらに細かな勝ち筋があります。連休の前後1〜2日は「橋渡し価格」をやや高めに置く。見落とされがちな日曜の夜は、翌日に休みを取る旅行者やインバウンド需要が見込めるため、平日価格でなく中価格(4.5万円程度)に。
そして超繁忙期は単に高くするだけでなく最低宿泊数を2泊以上に制限し、連休のど真ん中に1泊予約が歯抜けで入って前後が売れ残る事故を防ぎます。
また、閑散期の集客は早め早めの割引が鍵です。特に外国人ゲストは先に日程を決めるので、早い段階の価格設定が重要。閑散期の2〜3ヶ月前から切り下げておくかどうかが、年間稼働率に大きく影響します。
また、清掃費は宿泊代とは別途で請求する設計にすることで、宿泊単価の見栄えを良くし、比較検討されやすくするのも定石です。
問題は、これを「毎日」回せるか
テンプレートは出発点に過ぎません。実際には、箱根のイベントや連休、紅葉や正月の需要、競合の動き、直前の埋まり具合を見ながら、価格を上下に微調整し続ける必要があります。
「繁忙期は直前まで引き付けて売上を最大化する」のが鉄則ですが、その見極めには毎日のデータ確認と判断が要る。本業を持つオーナーが、需要の波を読み続けて毎日カレンダーを調整するのは、地味ですが相当な労力と経験を要する仕事です。ここを怠ると、知らないうちに繁忙期を安売りしてしまいます。
PriceLabsで、毎日の調整を自動化する
そこで私たちが使っているのがPriceLabsという動的価格設定ツールです。月額5,000円ほど。以前は毎日手動で価格を調整していましたが、今はほぼ自動任せ。イベントの検知や需要変動に応じて自動で価格が動くため、「気づいたら安売りしていた」という事故を防止しやすくなりました。
最低単価の下限は「客層フィルター」
もう一つ重要な設定が、最低単価の下限です。以前49,800円を最低単価にしたら客層が変わった経験があります。今は54,800円以上を下限に設定。
安くしすぎると「安く泊まれる場所」の客層が入りやすくなり、クレームやマナーへの不安が高まる。価格は集客のためだけでなく、客層フィルターの役割も果たしていることを忘れないでください。
価格を握る運営を、任せるという選択
私たち日本不動産は、箱根で2棟・大田区1棟・福岡で10部屋を自社運営する中で、エリアの需要に合わせた価格設計を日々回しています(ADR約7万円/稼働率55〜60%/一棟年間売上 約1,500万円/GOP 約900万円)。価格設定を含む運営管理を、完全成果報酬型でお引き受けします。報酬が成果に連動するため、売上向上に向けてオーナー様と方向性を共有しやすい仕組みです。
物件取得から建築・融資・運営・売却までワンストップ。「今の価格設定で取りこぼしていないか不安」という方も、お気軽にご相談ください。
※本記事中の数値(ADR・稼働率・売上・利回りなど)は当社の運営実績の一例であり、物件の立地・状態・時期や市況によって異なります。将来の収益を保証するものではありません。許認可・税務・融資・補助金などの専門領域は、提携する専門家・金融機関と連携してご案内します。
評価保証つき:当社が運営する物件で、主要予約サイト(Airbnb・Booking.com等)の評価が★3.0以下となった案件は、その案件の運営手数料をいただきません(天災等の不可抗力による場合を除く)。それだけ、評価を維持する仕組みに自信があります。
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