「ホテルに泊まるために旅行する人はいない」——かつて宿は、観光地へ行くための“手段”でした。しかし、ここ数年で状況は一変しています。
NOT A HOTELやSANUといったブランドが台頭し、「泊まること自体が目的になる宿」という概念が急速に市場を広げました。人は観光名所ではなく、その空間に身を置く体験を求めて、宿を“目的地”として選ぶようになったのです。
私たち日本不動産が箱根でA-frame(三角屋根)別荘の宿泊事業にたどり着いたのは、この変化への回答でした。ただし、その道のりは決して美しいものではありません。成功談だけでなく、率直な失敗も含めてお伝えします。
宿が「目的地」になった時代
宿泊施設の評価軸は、「立地と価格」から「空間と体験」へと移りつつあります。建築家がデザインした住宅を別荘として販売するブランドや、自然の中のキャビンに泊まれるサブスク型サービスが会員を増やしているのは、その証拠です。
共通するのは「建築そのものが体験である」という価値提案。SNSに上げたくなる建築、非日常の時間、都会では味わえない静寂——それらが宿を選ぶ理由になっています。
なぜA-frameが集客に強いのか
構造から自然に生まれる視覚的インパクト
A-frameの最大の武器は、屋根が地面まで伸びる三角形のシルエットです。「四角い箱」とは根本的に異なるこのフォルムは、森に建てば木々の間に幾何学的に突き刺さり、斜面に建てば傾斜と呼応して独特の風景を作ります。
重要なのは、この視覚的インパクトが高額な設計費の産物ではなく、構造から自然に生まれる点です。三角形であること自体がデザインの完成形で、追加コストなしに差別化を達成できます。
ゲストの写真投稿が集客コストの構造を変える
そしてこのフォルムが、集客コストの構造を変えます。泊まったゲストが自発的にInstagramやTikTokへ写真を投稿する——三角の天井が頂点へ収束する室内、大きな三角窓から見える景色、外観のシルエット。
すべてが「ここでしか撮れない画」になるため、ゲストが自発的な口コミや写真投稿という形で集客に貢献してくれます。広告費を抑えた集客につながりやすい構造です。私たちの箱根強羅の物件でも、ゲストが自主的にアップロードする写真は一般的な宿より明らかに多く、それを見た次のゲストが予約を入れてくれる傾向があります。
A-frameは、プロの建築家による一点物に頼らず、構造自体がデザインになる。高級デザイン宿泊と一般的な宿泊施設の中間、「手が届くデザイン宿泊」という拡大市場にぴたりとはまる存在です。
隠さずに語る、私たちの失敗
ここまで読むと魔法のように聞こえるかもしれませんが、ここに至るまでには痛い失敗を重ねてきました。宿泊事業の教材の多くが「成功した側面」しか見せないからこそ、あえて不都合な数字も開示します。
- 170万円の設備ミス──現場を見ず図面だけでエアコンの配線と暖房を発注した結果、配線引き直しに100万円、暖房追加に50万円、リネンに20万円の想定外出費。
- アカウント停止──プラットフォームの規約変更で突然アカウントが止まり、翌月の売上がゼロに。
- コンセプトのミスマッチ──ファミリー向けに作った部屋に来たのは若いカップル。子供向けの空間に大人の二人組が低評価を残していった。「誰に来てほしいか」だけ考え「誰が実際に来るか」を想定しなかった失敗です。
- 稼働率5%──無難な内装の都心物件で、稼働がほぼ止まった時期も。
建築資材は地政学リスクで月単位に価格が変動し、補助金の採択率は3割台、OTA手数料は売上の約18%、清掃費も人件費高騰で上がり続けています。「A-frameだから儲かる」という薄い話ではありません。失敗を語らない教材からは、失敗の回避方法を学べないのです。
失敗の先に見えた、再現可能な数字
箱根強羅のA-frame別荘の数字
こうした失敗を越えてたどり着いたのが、箱根強羅のA-frame別荘です。年間売上 約1,500万円、経費率を自主管理で約40%に抑え、営業利益(GOP)約900万円。ADRは約7万円、稼働率55〜60%、そして運営にかける時間は週30分程度。キーボックスによる鍵管理やサイトコントローラーといった具体的なツールで、完全無人運営を実現しています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 年間売上 | 約1,500万円 |
| 経費率 | 約40% |
| 営業利益(GOP) | 約900万円 |
| ADR | 約7万円 |
| 稼働率 | 55〜60% |
| 運営にかける時間 | 週30分程度 |
動的価格設定と最低単価の設定
動的価格設定はPriceLabsで月5,000円ほど。以前は毎日手動で価格を調整していましたが、今はほぼ自動任せです。閑散期は早め早めの割引を仕掛けるのが鉄則で、特に外国人ゲストは先に日程を決めるので、早い段階での価格設定が稼働率を左右します。また、最低単価は54,800円以上を下限に設定しています——以前49,800円を下限にしたら客層ががらりと変わった経験があるからです。
一番の稼ぎ頭は、デザインにとことんこだわったこのA-frame新築物件です。逆に苦戦しているのは立地も景観も特徴がない物件。デザインの差が、そのまま稼働率と単価の差になる——これがA-frameに取り組んで学んだ最大の教訓です。
これは万人に当てはまる魔法の答えではありません。この数字は当社の箱根強羅の特定物件における実績の一例であり、立地・物件・運営条件によって結果は大きく異なります。同等の成果を保証するものではありませんが、正しい手順を積み重ねることが成果につながりやすいことは、私たち自身の経験が示しています。逆に言えば、170万円の設備ミスもアカウント停止も稼働率5%も、すべて手順を知らなかったがゆえの失敗でした。
あなたの「一歩目」を、私たちと
私たち日本不動産は、これらの失敗と数字をすべて自分たちで経験してきた、神奈川の不動産会社です。箱根で2棟・大田区1棟・福岡で10部屋を自社運営し、A-frameをはじめとするデザイン宿泊の企画から、土地選定・建築・融資・運営管理・売却までをワンストップでお引き受けします(完全成果報酬型)。私たちが踏んだ失敗を、あなたが繰り返す必要はありません。
「箱根で、泊まること自体が目的になる宿を持ちたい」——その最初の一歩、あるいは立て直しの一歩を、お手伝いします。お気軽にご相談ください。
※本記事中の数値(ADR・稼働率・売上・利回りなど)は当社の運営実績の一例であり、物件の立地・状態・時期や市況によって異なります。将来の収益を保証するものではありません。許認可・税務・融資・補助金などの専門領域は、提携する専門家・金融機関と連携してご案内します。
評価保証つき:当社が運営する物件で、主要予約サイト(Airbnb・Booking.com等)の評価が★3.0以下となった案件は、その案件の運営手数料をいただきません(天災等の不可抗力による場合を除く)。それだけ、評価を維持する仕組みに自信があります。
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